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その代り彼には、その白っぽい、辛うじて見分けがつくほどの人影が、一そう我のほうへ近づいて来たように思われた。それから、ある起こった。ちょうど最前とおなじように、不意に彼の身うちで何物かが堰を切ったのである。そして彼は、満身の力をふりしぼって、ほとんど一言ごとに、はあはあ息を切らしながら、とてつもない狂気じみた声で喚きたてはじめた。——「ええ、この酔いどれの大たわけめ——この俺がそんな嚇しに——乗るだろうなんて——よくものめのめと——思いつきやがったな——そんなら俺は壁のほうへ向いちまってな、頭からすっぽり毛布を引っかぶって、一晩じゅうふり向いてもやらんからそう思え——そうすりゃ、そんな嚇しなんぞこの俺には屁でもないことが、貴様にだって納得がゆくだろうて——馬鹿面さげて……夜明けまでそうしてつっ立ってたっておなじことだぞ……ちぇっ、唾でもくらえ!……」そう言いざま、彼は中村だと思われる姿が立っているほうをめがけて、おそろしい剣幕でべっと唾を吐きかけ、くるりと壁のほうへ寝返りを打っと、約束どおり毛布を頭から引っかぶって、そのままぴくりともせず鳴りをひそめてしまった。死のような静寂が襲った。その人影がまだ近よって来るのか、それとも同じ場所につっ立っているのか、彼は知るよしもなかったが、胸の動悸は刻一刻と今にもはち切れそうに高まるばかりだった。……そのままの状態で、少くとも五分間はたっぷりたった。と突然、彼からつい二歩ほどのところで、弱々しい、ひどく哀れっぽい中村の声がひびいた。——