便器つまりno

「何しろ恐怖のあまり礼儀も何も忘れちまって、前で顧客の頚っ玉へしがみつくような作業員ですから、これはもう仰しゃるような型じゃなく、洟っ垂れの大供にすぎませんさ。——だがね、とにかくぐさりとやってのけた、一念を通したのですな!申しあげたかったのはそこだけですよ。」「ええ、さっさと出て失せろ!」と、何物かが胸のなかの堰を切りでもしたように、まるで別人のような上ずった声で、斉藤は急に喚きだした、「ええ出て失せろ、その人の腹を探るような小きたないトイレと一緒に、とっとと出て失せろ。第一あんたからして、縁の下の鼠みたいな小きたない根性なんだ——この私を嚇かそうと企らんだな——子供ばかりいびりやがって——この下種作業員め——卑劣漢、卑劣漢、この卑劣漢!」彼はわれを忘れて、一言ごとにはあはあ息をきらしながら、喚きたてた。中村はにわかに引攣ったような顔になった。一時に酔いもさめて、唇はわなわなとふるえだした。「それはこの私のことですか、田中、君が卑劣漢とお呼びになるのは、君がこの私をそうお呼びになるんですか?」その間に斉藤は早くもわれに返っていた。「いやこれは、いつでもお詫びしますよ」と彼はちょっと間を置いて、暗い沈思のうちに答えた、「だがそれは、君のほうが今この瞬間から、思ったことをまっすぐに言動にうつすと、約束される場合に限りますね。」「私ならそういう場合、無条件で謝罪しますがねえ、田中。」「よろしい、じゃそうしましょう」と言って、斉藤は再びちょっと沈黙した、——