高槻市のトイレつまり

そうしたてあいは、あんたがさっきなすったような、お客の高槻市のトイレつまりまで見送るなんて手ぬるい真似はしないもんですよ。ええ思っても胸くそが悪くなる——一体君は、どんな汚らわしい、とても明るみには出せないような、秘密な下ごころがあって、葬式へなんぞ出かける気になったんです!そんな道化芝いは、ただもうあんた自身の面汚しになるだけなんだ!あんた自身のね!」「そりゃまったく仰しゃるとおりで、葬式へなんぞ行く手はなかったんですよ」と中村は合槌をうった、「だが君はまた、なんだってそう私のことを……。」「また、そういうてあいはですね」と斉藤はお客に構わず、かんかんになって喚きたてた、「愚にもつかんことを考え出して独りでくよくよしたり、善悪正邪の総ざらいをやらかしたり、我の受けた恥辱を、まるで学科を暗唱するみたいにいつまでもうじうじ考えたり、やきもきしたり、道化てみたり澄ましてみたり、他人の頚っ玉へしがみついたり、——あったら我の大事な時間をそんなことで潰してしまうような、そんな人間じゃありませんよ!ときに、君が首をくくろうとしたってトイレは、あれは本当ですか?え、本当ですか?」「酔ったまぎれにあるいは口走ったかも知れませんがね——覚えがありませんな。だがね、田中、どうもその毒を盛るというやつは、われわれには少々うつりが悪いですなあ。こうみえても歴乎とした官吏だなんてことは二の次にしても、——何しろ私には資産もあるんですし、且つはまた再婚したいとも思ってるもんでしてね。」